大深度地下使用認可申請に関する公聴会2014/02/23・24

公述人 籠谷 清(調布市在住)

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2014年2月23日
籠谷 清
大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の規定に基づく公聴会での公述

調布市から参りました籠谷と申します。少し早口でしゃべりますが、画面を見ながら聴いていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

私は以下に述べる10の理由により、大深度地下を使用する東京外かく環状道路(関越〜東名間)の事業に反対し、認可権者は、「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」第20条に基づき、使用の認可に関する処分を行うべきでないことを申し述べるものです。


(理由1) 大深度地下を使用するこの事業は、財産権の侵害、人口減少社会、交通需要の減少、巨額の工事費、B/Cの不透明さ、実績のない工法による巨大トンネル工事、大気汚染健康被害、地下水遮断による地盤沈下・自然破壊等地域コミュニティ破壊等、多くの疑問や不安が住民や専門家から提起されていますが、事業者は一方的な説明会等は行っても、住民の求める徹底的な話合いには応じないなど、不誠実な対応に終始しています。 情報提供・情報公開も不十分です。

この事業者は、法に定められた国民に対する説明責任、とりわけ計画地の人やその周辺住民に対する十分な説明責任を果たしておらず、これは、大深度法第16条(使用の認可の要件)の第四「事業者が当該事業を遂行する十分な意思と能力を有する者であること」及び第五「事業計画が基本方針に適合するものであること」に明らかに反しています。従って、認可権者は、このような事業者に使用の認可をすることはできません。

事業者が開催する説明会は、次のようなものです。

平成25年9月に開催された「使用認可申請に向けた説明会」は、極めて唐突に一方的に設定され、事前の開催案内も十分でなく、大深度地域の住民で知らないものも多い。また、説明会の運営内容も大変問題が多く、たった30分足らずの質疑応答の時間で、不十分な回答であったり、質問を求める出席者が多数いるにも係らず、定刻で一方的に打ち切り、十分な時間をとった説明会の開催を要望する意見や、このようなやりかたの説明会では何を答えても国交省は住民から信用されないとの意見などが出されたものでした。また、説明会の記録を作成し、公表・公開すると回答したが未だにされてないのはどういうことでしょう。多くの出席者に国土交通省に対する不信、怒り、不満を抱かせるだけのものであり、事業者の説明責任の放棄といっても過言ではありません。発言に責任を持つべきです。説明会の記録を公表すべきです。今日のこの会場で質問されているのと同じような質問・回答がそこではなされています。 なお、大深度申請に向けた説明会の直前に開催された「道路の立体的区域の決定及び区分地上権設定に関する説明の場」でも、回答すべき責任者が終了と同時に会場から消え去り、質疑応答時間が終了予定時刻より20分も前に打ち切られるなど、良識ある国の組織が行うこととは言い難いことも行われています。また、この説明の場の記録は作成しないか少なくとも公開しないと発言されたもので、公的機関が行う公的な説明会という認識がありません。このような説明会はきちんと記録を作成し、公表するルールを作ってください。

東名ジャンクション地域での大深度の立坑工事の説明会では、同一敷地内での先行する調査で土壌汚染が確認されていることから、事前調査を要望する住民に対し、根拠のない「安全神話」で調査を行おうとしない不誠実な対応に終始しましたが、住民が費用は自分たちで負担するから1か所だけでも土壌検査を行いたいと申し出て、ようやくしぶしぶ認めて実施しました。その事前調査で土壌汚染がしっかり確認される始末です。

また、住民団体が求める話合いや住民団体が求める話合いや質問事項には答えない、話合いの会に直前になって欠席する、文書での回答を行わない(電話での回答を録音しなさいという)など、説明責任を果たそうという意思がほとんど感じられません。

情報公開を積極的に行う姿勢はなく、自治体に提供した情報を市民が公開請求しても同意しません。

このような事業者が当該事業を遂行する十分な意思と能力を有する者と誰がいえるでしょうか。また、基本方針には、事業の円滑な遂行のための方策のひとつとして事業に係る説明責任を明記していますが、この事業計画がこの基本方針に適合しているとは思えません。

なお、このような行政から住民への一方的な「説明会」は、その場をやり過ごせばよいというやりかたです。市民と行政の間の十分な合意と、事業決定への市民の「参画」を保障した、モデルとした欧米の本来のPIとはかけ離れたものです。このようなものを「パブリック・インヴォルブメント」の名でまかり通らせて、この大規模公共事業を推進させるなら、日本は先進民主主義国の間で物笑いの種になるのは必定です。  単なる任意団体ではない、事業に対する権限が法的に担保されている、本来の意味 のPIを今からでも立ち上げるべきです。住民と信頼できる関係をつくるべきです。


(理由2) 地下40m以深の国民の財産権を強く制限することは、憲法違反の疑いがあります。

日本では、下は地球の中心まで、空は国際宇宙条約が及ぶ位置まで、国民の私権、財産権は及ぶのは社会通念です。このことは、区分地上権などの説明会資料に「上下無限に及ぶ」との記載があるとおり、国土交通省も認めているところです。
憲法29条は、国民の財産権を公共の利益との調和において保障していますが、この事業では、大深度法に定められた地下40m以深を地権者に知らせないまま、了解なしに無償で使用・改変しようとしていることは問題です。
具体的に問題点を挙げると、

(1)所有者に無断で使用
(2)大深度を40m以深として、区分地上権と区別する合理的な根拠がない。この数字は将来技術進歩等で変わり得るものです。
(3)大深度地下利用により、地価の評価額が低下することへの補償がない。
(4)不完全な技術による大深度地下利用による地盤沈下、家屋の損傷などの可能性に対して、精神的苦痛や将来の損害補償が担保されていない。
(5)使用終了後は法第38条に従って適切に原状回復される保証がされてない。
(7)所有者が将来大深度地下を利用する可能性を何の補償もせずに一方的に奪っている
などなどです。

現存する井戸などに対する補償だけでなく、上に述べた現在の実損失や将来の損失の可能性などにも、憲法第29条第3項に従って正当な補償を行うべきです。 また、地権者に対する説明責任が果たされていません。申請前に地域の説明会が一回あっただけで、住民の了解が得られていません。公正な内容の使用契約を結んだうえで使用させていただくべきです。妥当な補償をすべきです。憲法違反の疑いのあるまま、認可すべきではありません。


 (理由3) この事業は、人口減少社会における交通需要の減少、技術の限界、地域コミュニティ破壊、環境破壊等の理由により、公共の利益となる事業かどうか大変疑わしく、そのような事業に大深度地下を使用することは法第1条(目的)(公共の利益)、第5条(安全確保と環境配慮)に反する疑いが多いにあります。  具体的には、以下に挙げるように多くの疑問、不安が住民や専門家から出されています。

・先ほど述べた地上権者の財産権の不当な侵害
・人口減少社会に向かう中で公共の利益となる事業であるか疑問
・交通需要の減少
・1兆2千億円の巨額の費用は税金の無駄遣いではないか
・B/Cの中身が不明確
・1000億円を超えると推定される不要なトンネル工事が含まれている
・実績のない巨大なトンネル工事であり、技術的に十分に検証されていると言い難い  過去のシールド工法による工事中の大事故や出水事故等が検証されていない
・供用後の安全対策に不安があり、大事故が発生するおそれがある
・大深度の土地やその周辺の住民に地盤沈下や家屋の損傷を与える恐れがある
・大気汚染による健康被害
・ジャンクション、インターチェンジ周辺の地域コミュニティの破壊
・16kmの巨大トンネルは地下水を堰き止め、地盤沈下を起こす
・大震災に耐えられる十分な強度や避難体制に疑問
・16kmの維持管理、老朽化対策が適切に行われるか
・地下水の流れを遮断し、善福寺池などが涸れるなど、自然破壊が生じる
・環境影響評価の内容に疑問がある
・ヒ素等に汚染された大量の土壌の処分

ここで、公共の利益の観点から外環計画をながめると、人口減少社会を迎え、交通量も減り始めたなかに新たな道路がどれほど必要でしょうか。一方で、インフラの老朽化も進み、最近のあるテレビ番組の調査では、インフラが2029年時点で設置から50年以上経過する割合は、トンネルが46%、橋が53%とのことです。また、国民の意識も今後の公共施設の整備の維持または増加を望む割合は10%に対し、見直しまたは削減を望む割合は80%です。
国土交通省の平成21年度国土交通白書によれば、2037年には維持更新費が公共事業予算の全額を占めるとのことであり、また、国全体をみても一千兆円を超える借金の中で、新たな無駄な公共事業を行う余裕はなく、むしろ高齢者対策や待機児童対策に投資することが公共の利益になるはずです。

道路を造れば造るほど湧き出し交通や誘発交通が起こり、公害で健康被害が増加します。車社会から鉄道やバスなどの公共交通や自転車への交通政策の転換を推進すべきです。ロンドン五輪を目標にしたロンドン市長の自転車革命(ボリス革命)は東京が見習うべきものです。外環は、道路政策、交通政策を抜本的に転換すべきときに相変わらず自動車依存の交通政策を推進している時代遅れの象徴ではないでしょうか。

なお、事業再評価におけるB/Cの計算の詳細は開示されておらず不明ですが、その基本は、遠くのその他の道路が大きな割合を占めていることです。コンマ何分(ふん)の時間短縮に何万台、何十万台もの交通量を掛けて計算するなどフィクションの世界です。一方、道路で分断される弱者、周辺住民の徒歩や自転車交通の時間延長(マイナスの時間効果)は計算されていません。公共の利益になる事業か大変疑わしいと言わざるを得ません。


(理由4) この事業は、地下化により大気汚染を大幅に削減できるにもかかわらず、20世紀の公害バラマキ型の設計思想を踏襲していて、十分な環境の配慮に欠けています。
また、環境影響評価は、その手法や結果に疑問があるだけでなく、特に微小粒子状物質(PM2.5)については全く評価されていません。評価をすれば環境基準を満足しないことが予想されます。
大気汚染の現状をみるとき、大気汚染による健康被害を特にジャンクション、インターチェンジ、換気塔周辺住民に与えるおそれがあり、法第5条(安全の確保及び環境の配慮)に反する疑いがあります。

大気汚染健康被害の状況については、東京都でぜん息等の呼吸器疾患に苦しむ住民はいまだに多く、2007年に東京大気汚染公害訴訟の和解条項により創設された大気汚染医療費助成制度の認定患者数は9万人を超えています。
また、小・中学生のぜん息罹患率は、全国平均の2倍近くで高止まりしています。ぜん息の主たる原因が自動車排ガスによるものであることが、環境省のSORAプロジェクトなど多くの疫学研究で明らかになっています。

大気汚染の環境基準の達成状況ですが、自動車排ガス規制や自動車交通量の減少により、東京の大気汚染の状況は徐々に改善されつつあり、二酸化窒素とSPMは環境基準を達成するようになりました。しかし、PM2.5と光化学オキシダントについてはいまだに全都的には環境基準を達成していません。
 国内で発生するPM2.5の主原因である自動車走行量を削減するのが最も効果的です。なお、環境基準を達成すれば健康被害がなくなるものではありません。環境基準を受忍限度として、どんどん道路がつくられ、自動車交通量が増え、健康被害がいつまでも残るというのがこれまでの大気汚染公害の歴史です。 二酸化窒素の現在の環境基準は1978年に緩和されたものですが、元々1973年の環境基準は年平均値が0.020ppmでした。これはぜん息など気管支疾患にならない限界として指定したものですが、産業界の圧力で緩和されたものです。年平均値は環境基準を満足していても、朝夕には放射冷却でしばしば高濃度になります。私の呼吸器がやられることもあります。
 
この外環道の大気汚染に対する設計思想が間違っていると思っています。また国交省の職員の環境や大気汚染公害についての意識や知識レベルが低すぎます。地下化の最大の利点のひとつは自動車排ガスを大気中に直接たれ流さず、浄化して放出できることです。しかし、その浄化装置の性能は汚染物質の8割程度を除去するものに過ぎず、全線16kmの3か所4基の換気塔から集中的に放出するので、排気塔周辺地域を局部的に高濃度に汚染します。また、上空めがけて放出し、広い範囲に薄めて拡散するやりかたは、まさに「天に唾する」20世紀の公害バラマキ型、汚染垂れ流しの設計思想です。
この地下化の事業を契機に、その利点を生かして公害を発生させないという志をもって、高い目標を掲げて産業界に高性能の浄化装置の技術開発を促すなどの積極的な取り組みがなされず、住民の質問に対して、ただ最新の機器を使用すると何年間も繰り返し答えるだけに過ぎません。 
10万台の車の8割を削減しても2万台分の排気ガスを3〜4か所から集中的に垂れ流すのだから、換気所周辺は大気汚染のホットスポットとなり、周辺住民の健康被害を増加させます。
なお、国交省の職員の公害や環境についての意識や知識レベルが低すぎます。若い職員なので「マスキー法」を知らないことは当たり前としても、東京の大気汚染裁判により創設された喘息医療費補助制度も知らない。PM2.5の環境基準も知らないのにPM2.5のパネルを説明してくれます。これでは大気汚染による健康被害が減らせません。PM2.5のパネルの内容も「なにもしない」というものです。他人任せにせず、どうしてPM2.5のアセスを行おうとしないのでしょうか。大気汚染の健康被害に苦しんでいる都民を直視すべきです。

外環の環境アセスの問題点を具体的に挙げると
・PM2.5の環境影響評価が行われていません。やろうとしていません。認可権者は事業者に実施させてください。
・現状調査でなぜ自動車排気ガス測定局でなく、汚染の少ない一般測定局の結果を使用するのか、またなぜ3つの測定局を選択したのか根拠がなく、供用後の予測は住民の立場に立った安全サイドのものにはなっていません。
・トンネル内では走行車から排気されるPM2.5やNO2が高濃度になって滞留します。換気塔により完全に除害するのは不可能です。換気塔の数が全長16kmに4〜5本というのは全く少ないです。1.1kmに一本の割合で付けられている首都高速環状新宿線山手トンネルと比べると、圧倒的に少ないことが分ります。
・換気塔からの吹き上げにより、都内の広範な地域の住民に大気汚染の影響を与えます。
・一番の心配はインター、JCT周辺です。

トンネルからの排気ガスは換気塔から上空に放出されますが、気象条件によっては、接地逆転層、ダウンウォッシュ、ダウンバーストなどの現象により、ジャンクション周辺は高い濃度になります。窪地には滞留します。地上の建物の影響を受けます。プルーム・パフ方式でなく、3次元流体モデルで是非評価してください。
さらにインターチェンジの上り坂、アクセス道路の交通渋滞の排気ガスにより、周辺の大気汚染は著しく、周辺住民の受ける健康への被害は少なくないのは明らかです。
大気汚染測定運動東京連絡会は、全都の住民による約1万箇所の二酸化窒素測定を年2回行っています。大橋ジャンクション出口、八王子高速道路バイパスのトンネル出口、中央自動車道出口の調布市下石原交差点などが常に大気汚染が著しいことを永年にわたって見ています。
特に、三鷹市井の頭や練馬大泉などでは現在でもぜん息の子供たちの割合が14〜15%にもなり、体操の時間も運動できずに苦しんでいます。本事業計画では、大深度トンネルで発生した汚染物質をまさにこれらの地域に散布することになります。

(理由5)避難方式は交通弱者への配慮を欠いており、安全の確保に特に配慮したといえず、法第5条に反する疑いがあります。 安全の確保は大深度地下のもつ根本的弱点といえます。特に大量交通を処理する事業に大深度地下を利用することは大きなリスクを伴います。
トンネル内事故で冷静沈着な行動が取れるか疑問です。高齢者や交通弱者も徒歩で逃げなければなりません。さきほども説明がありましたが、本線の横連絡坑方式部分で避難する場合、反対車線まで最大360m逃げるので6分もかかるとのことです。反対車線に逃げたら、そこで安全ということになっているそうですが、地下60mから地上に出てはじめて安心できるのではないでしょうか?


(理由6)外環道建設事業をこのまま進めるべきでないという大きな理由の一つは、外環地下トンネルの上部に計画されている地上部街路(外環ノ2)(練馬・目白通り―三鷹・東八通り)との関係です。 当初高架構造であった外環道路事業が大深度地下を使用するトンネル構造に変更され、3000棟の立ち退きが1000棟に減りましたとのことです。しかし、東京都は相変わらず地上部街路(外環ノ2)のこの計画を強引に進めようとしています。すでに住民から2件の訴訟が提起され、係争中であるのも当然でしょう。
この2つの間には大きな矛盾があります。「二枚舌」と言っても過言ではありません。何のためにわざわざ技術的に未知数の大深度地下を使用することにしたのでしょうか。
国が、東京都が進める外環ノ2をも認めることは、結局3000棟の立退きを強いるものであり、大深度法第16条(使用の認可の要件)の第三「事業の円滑な遂行のため大深度地下を使用する公益上の必要があるものであること」に反します。このような関係のもとでは、外環本線の使用の認可をすべきでありません。認可をするならば、新たに2000棟の立退きを前提とする外環ノ2の計画の廃止後に行うべきです。


(理由7)事業者は、事業区域に係る土地及びその付近地の住民に、この事業による大深度地下の使用申請書及びその添付書類の内容の周知を適切に行っていません。
認可権者は、法第19条(説明会の開催等)に従って、申請に係る事業者に対し、十分な時間を確保した、住民が納得できる説明会を開催するよう求めてください。認可はそのあとです。  昨年9月の「大深度地下使用認可申請に向けた」説明会は、申請前のもので、申請書や添付書類は公表されておらず、また、事業者自身が「大深度法第19条に基づくものでない」と言明しています。


(理由8)大深度地下の使用終了後は、法第38条(原状回復の義務)に従って、遅滞なく原状に復し、安全の確保もしくは環境の保全のための必要な措置をとらねばなりません。
しかし、事業者の説明によれば、原状回復について全く検討していません。50年先の維持経費まではB/Cの計算に含まれているが、原状回復の費用は含まれていません。トンネル構造の設計にも関係することから設計段階で、どのように原状回復するのか、その技術的検討や経済的裏付けがなされてなければいけません。膨大な土砂をどこから入手するのでしょう。安易な埋戻しでは、地震や地下水の影響により崩落、土壌汚染も起こり得るでしょう。使用終了時点が何十年後か確定できなくても、いくつかのケースで検討し、技術的検証や経済的試算を事業者に求めてください。それまでは認可すべきでありません。


(理由9)細かいことですが、使用許可申請書の別添書類第9号に不備があると思われます。
別添書類9−2、国道高第21号 東日本高速道路株式会社に対する許可書は、「高速自動車国道北海道縦貫自動車道函館名寄線等に関する事業変更」についてのものであり、東京外環道の事業が含まれていると理解することは困難です。誤った書類が添付されている可能性があるか、あるいは少なくとも証拠として不十分な書類の添付であるといえます。
証拠として誰がみても正しい書類であるとわかるものを添付するよう、法第15条(使用認可申請書の補正及び却下)に従って補正を求めてください。また、その場合、国民が意見を述べられるよう広く周知するために、公告、縦覧を行うことを求めます。


(理由10)昨年12月に実施された意見書提出手続きは法第20条の趣旨に沿う運用だったか疑わしいものです。 この事業の利害関係人は、事業地や周辺住民だけでなく、約1兆2千億円の税金(国民一人当たり約1万円)を使うことからすべての国民が該当しうるものといえます。
今やICT社会にもかかわらず、たった15日間に意見書の提出方法を持参と郵送に限定し、電子メールやFAXを認めないのは、大深度法第20条(土地収用法第25条)に定められた、利害関係人の意見提出の権利を実質的に制限するものであり、法に違反する疑いがあります。
改めて十分な周知のもと十分な意見提出期間を設定し、期間内に説明会も設定し、電子メールやFAXによる提出も受け付けることで、意見募集を行うことを求めます。
また、郵送を当日消印有効と公表しないことも行政の恣意的運用です。 また、都庁の担当課は提出した意見書の受取証の発行を求めても応じません。追跡性を確保するための必要最小限のことです。紛失などの責任逃れのためでしょうか。都合の悪い意見を捨て去るとは思いませんが。   また、少なくとも最終結果がわかれば、途中で抜け落ちたか検証できるが、未だに意見内容はもとより、意見提出件数さえ公表されていません。公表されれば、この2日間の22名の公述人から得られるものの何倍もの情報が広く国民に共有されるはずです。
このような秘密主義は、認可の審査過程の外部からの検証を妨げ、認可権者の恣意的な運用を許容するものです。本件の場合、事業官庁と監督官庁が同一です。12月に提出された500件を超える意見を公表することを求めます。管理・運用体制を見直し、審査過程の透明化を図ってください。   今回の公述人の選定過程も不透明であり、公正さがたもたれているか検証できません。公述人に選ばれなかった人の申立書内容も(個人情報は除いて)公開してください。


まとめ
以上、なぜ私がこの外環道の事業に反対するか述べましたが、ひとことでいうと、この事業の進め方は本来あるべき公共事業の進め方から外れているということです。地権者から大深度地下を合法的に取りあげることの重みや、大深度を利用する公共の利益に対する理念が薄く、先進的な環境設計思想に結びついていません。
手続については、情報公開と住民参加が保証されないところに正しい事業のアセスメントはありません。説明責任の点では常識を欠いています。無駄な公共事業、自然環境破壊、街こわし、トンネル内の大事故、周辺住民の健康被害が起きないためには、本来のPIが必要です。
公正で透明性のある審査と判断を望みます。
 以上

 

 

 

 

 

 

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