大深度地下使用認可申請に関する公聴会2014/02/23・24

公述人 古川 英夫(杉並・善福寺)

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古川画像

 

古川画像
只今紹介戴いた 杉並・善福寺在住の古川英夫です。
今、スクリーンに写っている写真(上図) これが地元の宝である善福寺池の写真です。
春夏秋冬 四季折々に美しい風景を私達に見せてくれています。
私は 小学校、中学校時代は昆虫少年として この善福寺池をホームグラウンドとして歩き回り、また近所の井の頭池、三宝寺池の方にも 良く昆虫採集に出掛けました。水と緑に囲まれた素晴らしい自然環境だと思っています。正に動植物の宝庫と言う感じでした。
リタイヤ―してからはこの美しい自然環境を子供達の残すことが 我々の責任だと考えて、未来永劫 この自然環境が続く様に 活動しております。

ところが、この池の近くを大深度地下を利用した外環道建設により 現状の自然景観とは全く異なる景観になってしまう事を知りました。 私は 大深度地下を使用した外環計画に反対です。それは東京西部の「水と緑に恵まれた美しい自然環境」が大深度地下に巨大なトンネルを造る事により 地下水脈が破壊され それによって美しい景色、昆虫、樹木、野草、野鳥、水鳥の世界が一変してしまうと考えるからです。どうしてその様に思うのか 今日は画像を使いながら説明して行きたいと思います。

【質問1】ここで事業者の方に質問です。外環が計画通り建設された場合、この善福寺池が涸れてしまうという事の可能性について 有りか無しか 端的に yes, noで答えて下さい。

私は 約10年前にこの外環計画と係わりを持つようになりました。自宅が計画線に掛かっているのです。外環は大深度地下利用とあるが 大深度地下とはどういう世界なのだろうか? 疑問に思いインターネットで調べてみました。その中で大深度地下と環境問題との関係      を説明している素晴らしい2冊の本に出会いました。その2冊の本、仮にA,Bと名付けご紹介します。その内の1冊がこの本・・・A参考書です。(上図)
国立環境研究所で地下水や地盤の部門の室長であった陶野郁雄さんが著わされた「大深度地下開発と地下環境」という本です。世の中に大深度地下の本は多く出ていますが 環境との関係を扱ったものは私の知る限り、この1冊だけだと思います。陶野先生は大深度法制定の前に設置された利用調査会において 技術・安全・環境部会で委員を務められた方です。

この本は初め 陶野先生お一人で書かれたものかと思っていましたが 実はその前年、国立公害研究所が来たるべき大深度地下が利用される時代に備え そうなった時にどの様な問題点があるのか 15人の地下水や地質、地盤の専門家が集まり 報告書が出された事を知りました。これは今でもインターネットで見ることが出来ます。この報告書の内容が翌年(平成2年)に単行本化されて発行されたのが この陶野先生の著書でした。

(上図) もう一つはこちらのB報告書です。国交省の大深度地下利用企画室で纏められたもので「大深度地下利用における環境に関する検討調査報告書」というタイトルです。平成16年に発行されたのですが こちらの方も 地下水や地質、土壌の専門家 延べ50名近くの専門家が分科会方式で参加され纏められたもので 今迄 人類が挑戦して来なかった大深度地下の世界に人工的な構築物を造った場合 どの様な影響がるか 実に詳しく述べられているのです。今日の公聴会の主催者は この報告書の発行所と同じ部門と聞いております。


【質問2】事業者の方に質問します。これらの本や報告書を今迄に眼を通されていますか?  yesかnoで回答して下さい。


これら2冊の本からは 大深度地下の色々な問題点について学ばせて貰いました。
今日これらの本に書かれているところと 今迄の事業者からの説明が食い違っているところ
あわせて 6項目を 問題点として 取り上げ 私の意見そして質問をさせて戴きます。問題点1 は 事業者は「水みちの存在を否定」していることです。 先程のB報告書の中に 「水みち」の事が、下図の様に書かれているのです。

 

先にこちらの上第2図を見て下さい。この図は外環の北半分 JR中央線から 大泉までの地下を示しています。こちらが大泉、この辺が善福寺、青梅街道付近です。斜めになった地層を朱色線の外環トンネルが次々と貫通して行く様が判ると思います。この黄色部分が地下水の含まれている砂礫層、緑色が上総層の粘土層です。後で酸化反応と言うところで再び登場しますので覚えておいて下さい。

さて上第1図を見て下さい。B報告書に書いてあるのは 各地層の間を貫通して行くトンネルは 外周に沿って新たな水みちが出来るというのです。青色矢印の部分です。これは先のA参考書にもB報告書にも、大深度地下では非常に出来やすいと書かれているのです。

これに対し事業者は上図の様に説明しているのです。 シールドマシンで掘削しながら セグメントという部材を 組み立てていき 地山との隙間の部分に 裏込め剤を用いて 隙間の無い様にする、従って水みちは出来ないというのです。これは納得できない事です。
地下水の勢いはとても大きいですから その外側を回り込むことは間違いありません。 皆さん納得できますか?

 

(上図) ここで外環トンネルと地下水の関係を見てみたいと思います。ここに外環トンネルが有ります。地下50m位までのところには 杉並の場合 地下水層は大体、地表から3番目の地下水層が存在しているようです。国交省の説明によりますと 上総層と言う地層にある地下水を 深層地下水と呼び 約300kPa の圧力を持っているようです。

(上図) 今度はトンネル掘削工事の様子です。先ず 大きな立坑を掘り、 そこからシールドマシンンをクレーンで50m地下に降ろし 掘削が始まります。
トンネル掘削が始まるまでは 立坑部分も トンネル部分も 何千年、何万年と圧力の掛かった状態で 存在して来ました。そこへ 今回 初めて 掘削が始まりますと 地下水も地層も今迄接触なかった 空気(酸素)と初めて接触することになり、かつ 抑圧された世界から 自由な新天地を見付けた勢いで そちらに向けて飛び出て来ます。丁度 自分の指をナイフで 切った時に血が飛び出て来るのと同じです。地下では トンネルの掘削の四方八方から トンネル目がけて 地下水が集まって来るのです。これらが先述の「水みち」となるのです。

どのトンネルも 「水みち」に集まって来た地下水の処理に困っています。
このように人間が一度改変した自然は元に戻せないのです。以上が水みちの問題です。

地下水の専門家である熊本大学の嶋田純先生は「トンネルを掘るという事は地下に川を造るようなものだ」と言われています。全く名言だと思います。
トンネル現場からの放流状態について例を挙げると
・都営地下鉄大江戸線全線で 1日あたり 1万トン
・八王子城跡トンネルでは 1日あたり 400トン
・環8井荻トンネルでは 1日あたり 60トン
と地下水を放流しているのです。質問3 事業者にお聞きします。これらの事実を御存知ですか? yesかnoで答えて下さい。ここで「水みち」に水が集合した結果、地上で「水涸れ」が発生している例を3例、紹介します。

第1の例は リニヤー新幹線での水涸れ報道です。(上図)先日、TVで放送されたのでご存知の方も多いでしょう。試験走行部分のトンネルを掘っただけで 山梨県の川や井戸が多く涸れているのです。

 

(上図)事業者のJR東海は水涸れとトンネル掘削工事との因果関係を認め 出来るだけの対応をすると言って手を打っているようです。

 

(上図)これからの工事で大井川の下にトンネル掘削が行われた場合 大井川の水が 毎秒2トン消失するとアセスで予測が出ていて 今、大きな話題となっています。

 

(上図)大井川の水が 毎秒2トン消失するとアセスで予測が出ていて 今、大きな話題となっています。毎秒2トンという事は1日あたり20万トンという事ですから大問題となるのです。

 

第2の例は大阪の箕面の滝です。滝の上流にトンネルを掘削したところ滝が涸れてしまい今ではポンプで水を滝の上まで汲み上げて落下させる人口滝になってしまったのです。(上図)

 

第3の例は 裏高尾の城山川の御主殿の滝です。ト ンネル工事ですっかり涸渇です。(上図)

問題点2はアセスではいずれも問題なしとしているが アセスのやり方がおかしいのです。
具体的にはシュミレーション計算させる時の予測条件がおかしい事、そして データ数が極端に少ない事です。例えば 地下の構築物を造った場合地下水の水圧や水位の影響を調べるのに地下の構築物は不透水としている、即ち水漏れゼロとして計算している。これでは 影響なしと結果が出るのは当たり前である。(上図)


アセス評価書に依れば シュミレーション計算では 右上図の様な格子モデルを作り計算したとある。格子モデルには東名JCT,中央JCT 大泉JCTが出ているが縦10m、横10m、高さ1mのモデルを杉並だけで約9万、全体では数10万格子(要素)に分割し 計算したと言っているが深層地下水データは1?に付き、1個の割合しかないのである。(アセス実施時)

上図はアセス実施時の深層地下水の観測地点である。
東名JCTから大泉JCT迄16?の間に 合計17点である。(アセス実施後には増やしたようであるが・・・)
アセスでは 外環の地下水予測を行うのに 解析領域として 南北に20?、東西に6?の範囲としている。
(ほゞ 上図の範囲がそれに相当)

【質問4】 事業者に質問 この解析領域に深層地下水のボーリングデータは何点有るのか?

問題点3.「地下水流動保全工法」の効果は有るのか?この工法は外環アセスの目玉商品だが。

 

アセスでは、上図にあるような保全工法を採用するから 構築物により地下水が堰き止められ 上流、下流の間で地下水位の差が出ても 上流から下流側へバイパスさせるので全く問題なしとの説明である。 下図のように日本全国で16例あると言うが その効果について国に問い合わせをしたところ 星印を付けたところ等 まだまだ問題が多いのである。上側図の左部分は井荻トンネルで施工された保全工法であるがその効果の有無を示すのが次の図だ。(上図)

 

 

 

井荻トンネルの着工前、工事中、完成後の現在に至る 地下水の上、下流地点での水位差グラフである。着工前は 上流側と下流側の地下水の水位差は無かったが 開始後5年位してから その水位差が5mにもなり 周辺の民家には地盤沈下や井戸枯れが多く発生、ここで保全工法が採用されたのである。ところがバイパス管が直ぐに目詰まりを起こし効果なく 現在に至っているのである。にも拘らず アセスの総合効果には 上右図の様に効果について 不確実性は有りません!即ち 確実に効果は有ります!と宣言しているのである。

【質問5】納得の行くデータを付けた形で 住民に 効果を説明して貰えるのか?yesかnoで。

問題点4.大深度地下では化学反応発生の問題。これは大深度地下特有の問題である。

 

 

前頁の右上図の内 緑色で着色されたのが 上総層の粘土層である。
この地層には黄鉄鉱を含むものが多く 空気に触れると 酸化して硫酸になってしまい 硫酸を帯びた粘土層に変わってしまうというのである。前頁左上図はアセスの文章であるが
セグメントと呼ばれる部材にて露出した地盤を覆うので問題は発生しないというのである。

【質問6】上記アセスには シールドマシンで掘削後セグメント部材で手際よく 露出した地盤を覆うので地盤及び 地下水が直接、空気に触れることが無いからというが 本当に空気に触れないで作業が可能だと考えているのか?」

問題点5.外環は床暖房となる! クルマは1台で2万kcalの熱を放散しながら走行している!
2万kcalの放熱とは 判りやすく言うと1kw電気ヒータを20個付けて走行しているのと同じなのである。
それが 1日 10万台の交通量なのである。

(上図)その結果、トンネル隣接の地下水や地盤が温まり 温度上昇が有るのではないか?
土壌の水分が減少することで植生に影響が有るのではないか?生態系への変化は? 中央部にあるグラフは 東京での熱帯夜の発生日数を表したものでこの30年間に14日から30日と 約2倍に増加しているのである。それはトンネル道路が増加したことも一因である。

 

冒頭で紹介したB報告書では (上図)の様な表を付け 今後、大深度地下を利用した構築物のアセスが実施されるような時には その工事の内容により 必要項目をアセスの中に取り入れて貰いなさいと言っているのである。従って今回のケースでは この表に出ている水温の測定なども必須であり 土壌水分値なども必要と考えて良いのでは?と思われる。朱色→部分
質問7.外環アセスでは 水温測定や土壌水分値の測定をアセスに追加すべきと考えるがどうか? Yesかnoかで 端的に答えて欲しい。問題点6.アセスで発表した数値を無断で修正している!

上図は 昨年12月の大深度地下説明会、昨日の公聴会冒頭に事業者説明の時に使われた資料である。地下水の検討結果は…と述べているのだが 実はアセスの時に発表した数値をいつの間にか無断で修正している。
下表の数値の内 朱色手書き数字が アセスでの公式発表数値である。これを住民に対し何の説明もなく勝手に書き換えて 得々と発表するという事は全く考えられない事である。

質問8.事業者に質問します。事業者はこの事実を承知しているか?Yesかnoか答えて下さい。

ここで まとめ に入らせて戴きます。

私の意見は 人類が初めて 挑戦する大深度地下と言う未知の世界を利用して 世界一の巨大な構築物を造る事は 東京西部の水と緑に恵まれた美しい自然環境を激変させる事であり(極論すれば 善福寺池や 周辺の池や川がすべて涸渇してしまい 植物、昆虫、野鳥が姿を消すゴーストタウンになってしまう)絶対に許せない事である。
又 大深度地下での構築物は 寿命を何年と考えているのか?その時が来た時にどの様な改修を、どんな風に実施するのか?実現不可能ではないか? 不可能工事は実施すべきでない。

事業者に注文
1.冒頭に紹介した先輩達の参考図書や報告書のアドバイスを謙虚に受けとめ 対応して欲しい。現状では全く生かされていません。先輩達に積極的に意見を求めて下さい。
2. アセスでは もっと現実的な予測条件でやり直しをすべきである。
3. 住民に対し 親切な納得の行く説明会を早急に実施の事。(この2年間逃げ回っている)
4. このまま進めば「想定外だった」の言訳で「おしまい」である。その様な事の無い様に・・・。

主催者に要望
東京圏、初めての大深度地下使用例として後世に禍根を 残すことのない様に 今回の多くの人の公述で指摘された 事項を徹底的に吟味の上、認可を下すようにして下さい。

 

ご清聴ありがとうございました!。

 

 

 

 

 

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